2014年1月30日木曜日

STAP細胞


今朝の朝刊の一面はSTAP細胞のニュースでした。

何よりも驚いたのは発見したチームのリーダーが30歳だったということ。
小保方さんは本当にすごいと思います。

若くして、周りから認められない苦労にも耐えて世紀の発見を世に送り出したのですから。

Natureに論文を出して、一度はリジェクトされたそうですが、これは査読システムがおかしいのではなく、これまでの常識が覆る発見はそれだけ証明が難しいのだと思います。
本当にこんなことが起こるのだろうかという疑いの目は論文の査読者だけでなく、読者も当然そう思うでしょうから、よほどの説得力を持った論文でなくては通らないのでしょう。

論文はだいたい先行研究をもとに論旨を組み立てていきますが、これまでの常識を覆すとなると、引用もしにくく、相当に説得力を持った研究デザインと文章であったと思います。

今回、発見したことも当然すごいのですが、認められる形で論文にして世に送り出した努力は並大抵のものでないでしょう。

私も実際に図書館で読んでみて、勉強させていただきます。

http://www.nature.com/nature/journal/v505/n7485/full/nature12968.html
http://www.nature.com/nature/journal/v505/n7485/full/nature12969.html

ちなみにArticleとLetterと二本同時掲載なのですね。

2014年1月26日日曜日

中枢神経の短時間における可塑性


この週末はうちの通信制大学院の冬期スクーリングでした。
今年から自分が大学院生を担当し始めて、勉強になることが多いです。

今日はスクーリングの最終日で科目終了試験でした。
私の担当科目は口頭試問での議論によって試験を行っているのですが、その中での議論がとても面白かったです。

内容は随意的な運動をどのように無意識の運動につなげていくかということでした。
私が学生の頃は意識的な運動を無意識化するには何十回、何百回も反復して身体に染み込ませることが重要だと教わっていたように思います。

しかし、1990年代の後半頃からShort term/ Rapid plasticityという言葉が海外で出始め、ごく短時間の運動においても中枢神経における可塑的な変化が生じるというものです。

このことによって運動を効率化したり、無意識に出来るようになったりするそうです。

たとえば、健常者に対して経頭蓋磁気刺激(TMS)を行って母指の運動を誘発した後に刺激の運動方向とは逆の運動を随意的に30分行わせると、今度は刺激によって誘発される運動方向が随意運動の方向に入れ替わると報告されています。これは大脳皮質のレベルにおいて同じ部分を刺激しても、随意的運動を繰り返すことによって短時間に活動様式が逆になることを示しています。つまりは全く同じ部分なのに運動の方向が逆になってしまうのです。

"Rapid Plasticity of Human Cortical Movement Representation Induced by Practice"

脊髄レベルにおいてもそのような変化は起こるようです。

"Plastic changes in the human H-reflex pathway at rest following skillful cycling training"

臨床を振り返ってみれば、その場で対象者の運動が変化していくのは中枢の短期間の可塑性が関与しているのでしょう。

私たちはそれを支援出来るように、適切な課題設定や動機付けが必要になってくると思います。

あと、大学院生が言っていたのですが、運動器疾患の対象者であってもバイオメカニクスだけで解決は絶対に出来ず、中枢の可塑性や筋、関節への神経調節の知識が不可欠であるということです。

全くその通りだと思います。筋肉や関節の動きだけで解釈して治療していく時代はとっくに終わっているのだと思います。

2014年1月20日月曜日

辛いリハビリテーションは誰が悪いか


今日は山口県の高校に出張講義に行ってきました。
内容は「正しく知ろう脳卒中のあれこれ」です。

私は理学療法士ですので、リハビリテーションの内容をメインに短い時間ですが話してきました。

脳卒中に関しての正しい知識を身につけ、障害をおった方の理解をしてほしいということはもちろん当然の内容としてお話ししてきました。私は理学療法士でありながら高次脳機能障害にも興味があるので(興味がないという理学療法士もまた困るのですが)、目に見える障害と目に見えない障害があり、目に見えなくても理解が必要な方がいることも話してきました。

もう一つ、私は養成校の教員なのでリハビリテーションの魅力を伝え、一人でも多くの高校生がこの道を目指してくれることを願い、話をさせてもらいました。いま理学療法士は増え過ぎといわれていますが、養成校に入る前から明確な動機を持っていれば、きっといい理学療法士になってくれるでしょうから、そういう人を一人でも増やすのは私のつとめだと思っています。

本題に入りますが、世の中のリハビリテーションに対するイメージってどんなものなんでしょうか? 

辛い
根気がいる
汗のにじむような努力
忍耐
くじけそうになる

そんなイメージであるのであれば悲しいことです。

確かに対象者自身にもがんばる気持ちは必要だと思います。
しかし、理学療法でいえば運動学習理論や正確な評価および予後予測に基づいた細かい課題と目標設定、行動分析等に基づいた動機付け、QOL向上につながるプログラムの提供、短期的に結果の出せる治療技術、これらがあれば決して辛いばかりのリハビリテーションにならないはずです。

単なる資格ではなく、国から与えられた免許を持っているからにはそこまで考えないといけません。

私自身はリハビリテーション(私は理学療法士ですから特に理学療法)が辛いものであってはならないし、もしそうだとしたら悪いのはセラピストだと思っています。

自戒も含めて言います。
私たちのアプローチはちゃんとその場で結果を出せているでしょうか?
〜の運動を10回やってくださいで終わってないでしょうか?
逆に楽しいだけのレクリエーションで終わっていないでしょうか?

私は学生時代からリハビリテーションは歯を食いしばって頑張らないといけないものであってはいけないと言い続けてきました。
学生なので否定もされましたが、今もその考えは変わっていません。
もちろん高校生にもこの話は今日しました。

リハビリテーションが辛いものになるか、充実したものになるかは私たち次第なのです。

2014年1月3日金曜日

本年もよろしくお願いいたします


あけましておめでとうございます。

今年も脳血管障害、嚥下、神経生理と研究を進めていきたいと思います。

今は国際学会に出すデータの整理をしております。
今年は研究費が獲得出来れば、複数回海外の学会に行きたいと思っております。
本心からすれば、自費でも行きたいところですが、業務の関係でどうなるか分かりません。

出来る限りブログも更新するようにいたしますので、本年もよろしくどうぞお願いいたします。