リハビリテーションアプローチからセラピスト教育、研究活動まで日々の活動をアウトプットしています。文献紹介などの客観的な情報から主観的な考えまで幅広く記載しているつもりですので、あくまでも批判的にご活用ください。
2013年9月18日水曜日
FD研修会
大学では教員の教育力向上のためのFD(Faculty Development)研修会というものがあります。
今日はその研修会で、大学の全教員の前で発表をしてきました。内容は「臨床実習前の科目を超えたOSCEの取り組み」です。OSCEというのは日本語で客観的臨床能力試験のことで、単なる実技試験でなく、問題解決能力や患者に対する態度も評価しようとするものです。そのOSCEを私の科目でも導入しているので、発表してほしいと言われ、緊張しながらもやってきました。唯一の成果は発表中に一度笑いを取れたことです。
どうしても笑いを入れないと気が済まないのは、関西人の血がハーフでも流れているからなのでしょう。それにも関わらず、授業中にはすべってばかりなのは私の教育力が足らないのでしょうか。
まあ、笑いを取れる人というのは素質もありますから、私には素質がないのでしょう。
OSCEの概要は以下を参照ください。
http://www.cato.umin.jp/02/0601osce_outline.html
発表者はその後の情報交換会というシンポジウム形式の議論にも参加することになっていて、とても勉強になりました。単なる聴衆としての参加者ではなく、発表者でなければ得られない経験でした。
私は専門学校勤務の時から8年半教員をやっていますが、教育というのは各先生ごとに考え方も異なり、正解は出ないものだとも感じました。
最後に言われていましたが、教育というのは相手があってのことです。やはり学生に合わせた教育というのが必要になるのでしょう。
私の授業に関する思いですが、学生にはつまらないならつまらないと表出し、改善を求める権利があると思っています。私も学生に完全に迎合した授業をするつもりはないですが、どうして欲しいのか、何が分からないのかを学生は表出し、教員に意見してこそ授業は良いものになると信じています。授業をよりよいものにしていくのは学生自身だと思います。学生にはその意識を持ってほしいと思っています。教員も学生の意見に耳を傾け、常に改善する姿勢がないといけません。
教員は学生の自主性がとか最近の学生はという前に、学生の文句を聞いてみてはどうでしょう。
ところで、最近の若者は...とよく言いますが、古くはエジプトのパピルスにもそのような記述があるそうです。人は時代とともに変化していきますが、若者と上の人の意見が合わないのは昔からのようです。変化をすることが問題なのか、変化を受け入れられないのが問題なのか、どっちでしょうか?
2013年9月16日月曜日
結局脳は使われたほうがいいのか。
前回の投稿の続きです。
有名な話でピアニストやハープ奏者は手指の運動を司る脳の領域が拡大していることがいわれています。
そう考えると前回の投稿のように使われないほうが効率が良いという考えは間違っているのではないかということになります。
確かに高度な能力を獲得するためには脳の活動量が増えることが必要で、使用依存的に脳の領域も拡大するでしょう。そうするとやっぱり脳の活動をあげることが大事ということだと思ってしまいます。
ちょっと待ってください。それは難しい課題が先行して、脳が課題指向的に適応しているということです。
他言語を習得するのに脳の活動をあげることは十分意味があることだと思います。それは実用的な課題の習得という目的が明確にあるからです。
単純計算や頭の体操のようなことをして、脳の活動が上がったと喜んでいても、実際の生活の何に般化(応用)出来るというのでしょう。要は習得したい課題自体を行うために脳の活動量を上げることは意味があるけど、現実から離れた課題を行って脳の活動量だけに着目していても何の意味もないということが言いたいのです。
しかも課題依存的に一時的に上がった活動量も、その課題が容易く行われるようになれば下がるはずです。同じ曲の演奏でプロのピアニストと学生を比較すると学生のほうが活動量は高くなっているはずです。やはり、活動量だけの問題ではないと思います。
こんなこと書いていると、いつかどっかの脳トレを勧める会社から圧力がかかりそうですが...
2013年9月14日土曜日
脳はやっぱり一部しか使われていない?
今日、Twitterで他の方がつぶやいてくれていたのですが、最近の研究で脳はやはり一部しか使われていないようなのです。ちなみに@yuji_ikegayaさんという方が教えてくれました。
昔は脳は10%くらいしか実は日常で使っていないという話がありましたが、連合野の活動の証明によって、それは間違いであり、脳に使われていないところはないことが証明されてきました。
しかし、今週の『Cell Reports』誌によると全ての神経活動は実はそのうちの10%ほどの神経細胞でしか起こっておらず、他の神経細胞は休んでいるというのです。
http://www.cell.com/cell-reports/abstract/S2211-1247(13)00401-4
私もTwitterで得た情報をもとに書いており、Summary以外の本文をまだ読めていないので、背景は分かりませんが、それが本当だとしたら興味深いです。
ここから個人的な考えです。
この事実をもって、残りの90%を活動させると頭が良くなると言えるでしょうか?
そうではないでしょう。脳がフルに活動してしまえば相当疲れます。脳が適度にさぼってくれていることによって我々の活動が成り立っていると思います。
以前に脳トレブームで、ある計算課題をすると前頭葉が活動するから脳にいいということが流行ったことがあります。脳が活動すればいいのでしょうか? また、あることをすれば神経のシナプス結合が盛んになるという報告もあります。
確かに脳が機能不全を起こしている障害モデルでは活動させることは治療につながります。しかし、健常モデルでは活動をあげることが大事なのではなく、活動しなくても課題が出来るようになることが重要でしょう。脳のシナプス結合も結合ばかりしていると過放電を起こしてしまいます。適度な刈り込みがあるのが正常といわれています。
たとえば、1kgの荷物を持ち上げる時に筋肉がたくさん活動しましたという場合と、あまり活動しなかったけど持ち上げられましたという場合では、活動しないほうが効率がよく身体が疲れないに決まっています。脳でも同じで、あまり活動しないでいろんなことが出来るようになったほうが疲れなくてよいのです。
そんなわけで、健常モデルでは無理に使われていない神経細胞を動員しようとしないで、むしろ使わない細胞が増えていろいろなことが出来るようになれば効率がいいといえるのではないかと思うわけです。
主観ですけどね。
2013年9月13日金曜日
国際学会準備
ブログというのはくだらないことでも続けなければ意味がない。
そう言われて反省しています。
どんだけやっていないんだ... 海外に出した論文がアクセプトされたら再開などと変な意地をはっていたのがいけないのか...
頑張ってくだらない愚痴であってもはき続けて更新します。はい...
来週末からオーストリアのウィーンで行われるWorld Congress of Neulogy(世界神経学会)に参加してポスター発表してきます。
タイトルは"Changes in presynaptic inhibition during movement restriction of unilateral lower limb in a hemiparetic patient and healthy individuals."で、誘発筋電図を用いた神経生理学的な研究です。
まだオンラインでは読めるようになっていませんが、脳卒中の非麻痺側の膝関節を伸展固定して歩行させると麻痺側の荷重量(使用量)が増えて、歩容が良くなるという論文を最近書きました。理学療法科学の最新号です。興味があれば読んでみてください。ほぼ症例検討に近い即時効果の研究ですが...
背景としては運動学習の効果がまず考えられるのですが、荷重量が増えるということで、使用依存的な脳の可塑的変化も期待出来ないかと考え、脊髄のレベルで脳からの下行性抑制の変化を今回の発表では見ています。
養成校で、「脳卒中になると脳から脊髄への抑制が効かなくなり、腱反射亢進や筋緊張異常などの陽性徴候が現れる」と習いますよね。その抑制が非麻痺側の膝関節を固定して麻痺側の使用量を増やすとどう変化するかを健常者と比較しました。
そうすると、健常者でも抑制は増えるのですが、脳卒中でほとんど抑制の利いていない患者が一気に抑制量が増えるんですね(通常歩行ではほとんど変わらないのに)。抑制が増えるということは筋緊張や随意運動のコントロールが出来るようになるのではないかと思っています(これはかなりの拡大解釈ですが)。
そんなわけで、今日ポスターの英文校正が返ってきたので、プリントアウトをしました。
来週がんばって発表してきます。
登録:
投稿 (Atom)