2014年6月29日日曜日

ハンガー反射


私が大学院修士課程に入った頃でしょうか。

針金性のハンガーを頭にかぶると自然と頚部が回旋するということをどこからか聞いて、試してみたことがあります。

確かにやってみると頚部が勝手に回旋していくような気がします。

あれから10年経ち、今日参加した半側空間無視の講演でハンガーを利用して頚部を回旋させて半側空間無視を治療するという海外の論文があるということを聞きました(パワーポイントでは示されませんでしたので、どの論文か分かりませんが)。

帰ってから調べてみたのですが、やはり半側空間無視に対するハンガーを用いた治療の論文は見つけられませんでした。

しかし、日本では「ハンガー反射」という名前で呼ばれているそうで、研究している方もいるみたいです。

http://www.interaction-ipsj.org/archives/paper2009/interactive/0180/0180.pdf

どうやら側頭部の前方に圧に反応するポイントがあるようです。

しかも、頚部のジストニアに対する治療として研究している方もいました。

10年前には気のせいではないかということを回りに散々言われましたが、誰に何と言われようと研究してみれば良かったです。

何でも疑問に思ったことは研究してみることは大事です。
研究とは高尚なもので、誰もが納得する内容でないとテーマにしてはいけないと思っている人が臨床には多くいます。

しかし、「本当に独創性のある研究は最初は誰にも理解してもらえない」と、身近で有名な研究者から言われたことがあります。

何でも調べてみる姿勢は大事だし、もっと研究というものが身近になれば良いと思います。

「研究をなめるな!」と言って、研究に手を出させないようにしている人が、実は科学の進歩を妨げている気がしてなりません。

2014年6月25日水曜日

鍼治療の効果


少し前にスポーツメディスンという雑誌に「理学療法と鍼治療の融合」という特集があって、興味深く読ませてもらいました。

http://www.fujisan.co.jp/product/1281680338/b/1079933/

誤解の無いように言っておくと、理学療法士は鍼治療は出来ません。
しかし、鍼治療を行うポイントを理学療法的に刺激すると症状の改善が得られるようです。

興味があって、Pubmedで鍼治療に関して調べてみると結構RCT(ランダム化比較試験)が多いことに気付きました。しかも、Sham(偽)鍼刺激との比較をしているものが結構あります。

現状でいうと、Sham刺激との差があるという論文もあれば、ないという論文もあります。
中にはプラセボ効果だと結論付けている書籍もあるようですが、Sham刺激も安静条件と比較して鍼治療と同様の効果という論文もあるので、何らかの効果はありそうです。

鍼治療は、身体に備わる自然治癒能力を高めるということで、西洋でも最近注目され始めたそうです。

エビデンスは大事なのでが、エビデンスは無いものに関しては、「現在はない」というように考えるべきです。
研究が進んでいくに従って、エビデンスが出てくるものもあるので、「エビデンスが無いから治療に取り入れない」というのは消極的であるように思います。
その検証作業は臨床家が担っていくべきなので、エビデンスを作るのは対象者を治療する人間ということを忘れてはならない気がします。

※ここでいっているエビデンスとは、EBMの概念図の3つの輪のうちのリサーチエビデンスのことを言っています。